地球最後の24時間

 車内を覗き見ると、男が鬼のような形相で少女の足にしがみついている。しかし俺の目線に気が付くと、その表情は恐怖の色に変わった。

「あ、わ……悪かった。でも俺たちもあんたらを助けたんだし、貸し借り無しだろ?」

 胸くそが悪くなる屁理屈だ。突然湧き上がる負の感情は、そいつに向けていた銃口を伝い火を噴いた。

 一発……二発……三発……

「チクショーっ!」

 なぜか涙が出てきた。空しくて悲しくて、情けなくて。

(なぜそっとしてくれない! なぜ殺させる! もう……)

 少女が車から這いだしてきて、泣いている俺の顔を見つめた。

(みんな……最期なんだぞ……)