地球最後の24時間

 両手が俺の首に伸びた。突然目の前が青白く染まり呼吸が止まる。

 頭が爆発しそうだ。

(死ねるか……)

 右手に軽い衝撃が走り、それと共に乾いた銃声が狭い車内に反響した。同時に俺の首を絞めていた手から力が抜ける。

「なんてこと……しやがる……」

「そりゃこっちの台詞だよ」

 俺の手には自衛隊員の手を離れた拳銃が握られていた。

 発射したあとの硝煙の匂いが鼻を突く。目を剥いたまま力を失った男を押し退けると、気絶した少女の姿を見つけた。

「おい、大丈夫か?」

 頬を叩くと、薄目が開かれた。

「しっかりしろ! 逃げるぞ」 

 割れたサイドウィンドウから身を潜らせて外に抜け出し、少女の手を掴み引っ張り出す。

 その時、少女の叫び声が上がった。

「足、誰か掴んでる!」

 もみ合った自衛隊員だ。まだ死んではいなかったようだ。