地球最後の24時間

「漏らすけど……」

 言いかけて目線をふっと横に逸らした。つられた自衛隊員の目線がそれを追う。

(かかった!)

 目線はそのままに拳銃を掴んで捻りあげた。

「きさま……!」

 もみ合う中、引き金が引かれた。

 その弾は運転席の男の頭を撃ち抜き、車はコントロールを失って歩道に乗り上げた。窓の外の景色が上下に大きく揺れ、少女の甲高い悲鳴が響く。

 激しいショックと共にジープは横転し、動きを止めた。

 窓からはネズミ色のアスファルトしか見ることが出来ない。一瞬朦朧としたが、意識が覚醒したとき、隣に座っていた自衛隊員が俺の上に重なっていた。

 その体がのそりと動いた。奴も意識がある。

 男は体の向きを変えると、俺の眼前に鼻面を合わせてきた。

「殺してやる!」