地球最後の24時間

 走り出すと助手席の男が無線で連絡を取り始めた。

「おーい、二人確保。ひとりは男だけどな、緒方直人っぽい奴だ」

『おっほ、そりゃ隊長が喜ぶんじゃねえの?』

「なんか与えとかねえと、俺たちが掘られちまうしな」

 そう言うとひきつったような馬鹿笑いを始めた。その会話に顔が青ざめ、吐き気を催す。

『女はどうだ?』

「こりゃイイぜ……」

 聞くに耐えない下品な話の内容に、こいつらも狂っていることが分かった。さっきの奴らとなんら変わりはない。

 むしろ強力な武器を持っているだけにタチが悪いと言える。奴らの保護施設に連れ込まれれば脱出は困難になるだろう。やるなら今しかない。

「すまんが小便したくなった。降ろしてくれ」

「そんな手に乗るかよ」

 少女の肩越しに伸びた手には拳銃が握られていた。その銃口がこめかみに押し付けられる。

 俺が構わず顔を男に向けるとそれは額に移動した。