地球最後の24時間

 銃を肩に担ぎ直すと、俺たちを促した。

「いや、すまないが俺はすぐ戻らないと……」

「どこにだ? 保護施設を用意している。そこで安全に最期まで過ごせ」

 隊員の顔が険しくなる。

「ありがたいが福岡に行きたいんだ。この少女だけ保護してくれないか?」

 その言葉を聞くなり、再び構えられた銃が俺の眉間に突きつけられた。

 細面の自衛隊員は、ヘルメットに半分隠された目を鋭く光らせる。

「福岡も戒厳令が発動されている。なかには入れん。ここで死ぬかついて来るかどっちだ?」

 選択の余地はない。この場は従い、後で策を練るしかないようだ。

「行こう」

 俺は少女に声をかけ、歩き始めた。不意に革ジャンの裾を少女が引っ張った。振り返ると意味深な目線で見上げている。意を汲んだ俺は少女に耳を近づけた。

「あいつらヤバくない?」

「へたに刺激するなよ」

 これ以上面倒に巻き込まれるのはごめんだ。

 脇の道には軍用ジープが止めてあり、車内へ連れ込まれた。運転席と助手席に自衛隊員が一人ずつ。そして後席には俺と少女の他にさっきの男が乗り込んできた。