ランゲ・ラーゲは、ゼン・リッツツェンの居城にて催しを開くことにした。
深夜になると、供もつけないで高貴な人々が集い始めた。
月の光に絹の音。
篝火の廊下を歩く音。
地下の部屋に集まり、葡萄酒を飲む。
皆、仮面を被っている。
出席者の素性を薄々わかるが、儀礼としてお互いに詮索しない。
ランゲ・ラーゲがベルを鳴らす。
談笑が静まる。
「本日は、この集いに参加いただき深謝いたす。この城の主の好意により、かうして開催できました。さて、本日は初めてのものですが、なかなか上等のものが入っております。紳士諸氏、ご存分に。」


参加者たちは、皆期待に逸物を硬くしていた。

屈強な兵士二人によって、磔にされた少年が運ばれてきた。
白い肌が篝火に照らされる。恐怖と不安に震えている。風に靡く高原の木々のようだ。
しかし、まだあどけなさの残る顔とは裏腹に、逸物は男だ。

参加者たちの唾を飲み込む音が聞こえた気がする。
「………それでは、市を開きます。この品、先ずは69ポコチポで開始です。」

直ぐ様、値はつり上がっていく。
恰幅のいい禿頭の男が競り落とした。

また、次の品が……。
筋骨隆々の元剣闘士。逸物も鍛え、磨きあげられている。
これも高値となった。

様々な種類の品。欲望と嗜好は、無限である。
男色市場は、活況となった…………。