ランゲは、愛馬雷帝号に跨がると颯爽と駆け出した。いつもの通り従者もつけない。
イウモウの鬱蒼とした森の中に小高い丘がある。
一軒の邸宅の前でランゲは、降りた。
聖師メスの屋敷である。
メスは、独りで住んでいる。
山野の草を集め、各種の薬を調合する。そして、ナイフを用いた治療も行う。さらには、神への祈祷もし、過去も未来も見えるのだ。
ランゲは、診察と領地経営の相談のため、月に一度は訪ねる。
メスの話は、含蓄に富み尽きることがない。
話が終わり薬草茶を飲み終えたランゲは、寝台に横たわる。
一糸纏わずランゲは、さらけ出している。
メスは、組まなく全身をまさぐり触診。ポコチンポス公国では、実用だけでなく勲章であり装飾品の意味もある逸物は、特に念入りに診察された。
メスは、剃刀でランゲを剃毛する。

逸物は、いつものように隆起してきた。
メスは、あらゆる角度から観察し、指を這わせる。
メスは、ある種の異物感を感じた。
メスは、静かに口を開いた。
「ランゲ・ラーゲ男爵殿下、腫瘍が出来ております。」
「ほぅ………。しかし、余は昨夜も三名天に昇らせ、今もかように怒張しておる。」
「今は、自覚されませぬが、次第にこの腫瘍は大きくなり全身に広がり、男爵殿下の御体を蝕んでいきます。幸い、発見することが出来ました。治療は、如何いたしますか?」
「余は、そなたを信じておる。早速、取りかかってくれ。」
そう言うと、ランゲは目を閉じた。

メスは、ランゲを地下の洞窟に運んだ。石造りの寝台に横たえると、祭壇の燭台に火を着けた。篝火も焚いて、蜜柑色の灯りに白いランゲの裸体が照らされる。メスも、着衣を脱ぐと全身を熾糸草から精製した消毒液で浄めた。