ぎゅっとして

バタバタと走り去って行く足音。


女の子達の黄色い悲鳴。


誰かの冷やかす声。


拍手の音まで聞こえてくる。


だけど、そういうのが全部どこか遠くから聞こえてくるようで、あたしの耳には届いて来なかった。


暫く経って。


ようやく周りが静かになってきたころ―――


「・・・・・いつまでそうしてるつもり?」


その声にはっと顔を上げる。


至近距離に慧の顔があって、思わず驚いて身を引く。


「うわっ」


「何びっくりしてんだよ」


「だ、だって」


「あいつ、もういないよ」


慧の言葉に顔を上げると、そこには藤村も取り巻きの女達も、もういなかった・・・・・