ぎゅっとして

聞き間違い、だと思った。


―――今、なんて・・・・・?


「け・・・・・」


口を開いたその瞬間、慧があたしの腕を引き寄せた。


そして、顔が近づいてきたと思った次の瞬間―――


あたしの唇は、慧のそれによって塞がれていた・・・・・


頭の中が、真っ白になって何がなんだかわからなかった。


あたしは驚きすぎて、目を瞑ることさえ忘れていた。


目の前に、慧のきれいな顔。
 

甘く、やわらかな感触。


どのくらい、そうしていたのか。


ゆっくりと解放された唇は、甘い痺れを残していて・・・・・


慧の薄茶色の瞳が、あたしを見つめて優しく微笑んだ。