ぎゅっとして

一歩、藤村が足を踏み出し、あたしに近づいた。


それに合わせ、あたしは一歩下がる。


でも、後ろには大きな松の木。すぐに背中が当たって、それ以上下がれなくなる。


「・・・・・離してよ。あたし、もう帰る」


藤村を睨みつける。


「言ったでしょ?離さない。ねえ、僕と付き合ってよ。損はさせないからさ」


その言葉に、あたしは顔を顰めた。


「損得で、誰かと付き合うとか決めるもんじゃないでしょ?」


「だけど、損するよりは得なほうがいい。違う?」


「違う。そんな理由で、あたしは人との付き合いを決めたりしない」 


むっとしてるあたしをあざ笑うようにあたしを見下ろし、顔を近づけてくる藤村。


「だからさ。俺と付き合ってみれば、俺が言った意味がわかるんじゃない?きっと・・・・俺と付き合ってよかったって思うと思うよ」