ぎゅっとして

藤村からは見えなかっただろうけど・・・・


あたしからは、慧の口元が笑みを作っているのがはっきりと見て取れた。


あたしが藤村のことを嫌っているのを知ってて、わざとやってるんだ!


「さっすが、心が広いよね~、慧君は。大物の息子は違うよな~」


ピクリと慧の体が震える。


「藤村君、それ・・・・・」


「あ、優衣ちゃんも知ってるんだ?彼が岸本利緒の息子だって。すげえよなあ。世界的ジュエリーデザイナーを親に持ってるなんて、こんなラッキーなことってないじゃん?」


藤村の言葉に、慧を取り巻く空気がぴりぴりとしてくるのがわかった。
 

―――慧・・・・・