これは世に言う『Wデート』というやつなのか、と考えていると肩を掴まれる。

「方向、」
こっちだから。拓馬が笑いながら私の手をひく。


繋がれた手を見て、今思えば初めてだ。

「なにが?」
急に拓馬が問いかけるから私は何が何だかわからなかった。
首を傾げる私。
「初めて、ってなにが?」
って聞いてるのと言われて自分が声に出していた事を知る。

「…えっ!いや、あの…何でもないよ」
急に恥ずかしくなって、言えなかった。


男の子と手を繋いで堂々と大通りを歩く事、ちゃんとしたデートする事、初めてなんだ。

彼氏じゃないけど、拓馬ならいいかなって思える。拓馬は会ったばかりなんて思わない位仲良い。


拓馬と私は似てるのかもね。