あなたは講師

「あっ、冷蔵庫ん中野菜と玉子しかなかったから、ベーコンとハム買ってきた。」
「お、ありがと。そういえば、肉系きらしちゃってた…」
苦笑いしながら、私の右手にぶら下がったスーパーの袋に手を伸ばし受け取ると、中を取り出しはじめた。

「ん…なにこれ?」
焦茶色の袋を見つけた拓馬が不思議そうに眺めていた。
「あぁ!インスタントコーヒー!朝はコーヒーでしょ☆」

「こんないっぱい……」
お徳用を買ってきたから、拓馬は少し戸惑いながら笑っていた。











それから二人で四人分の朝食を作った。
私がスクランブルエッグを作っている横で、拓馬がトマトやキューリなどを切ってサラダを作る。

二人とも何も話さなかったけど、別に嫌な雰囲気とかでもなかった。

作り終えたのをちょうど見計らったかのように二人が起きてきた。
「ん?ここ、どこ…」
「…あれぇ?あっ!拓馬、おハよ♪」
寝ぼけてここがどこか分からない稚葉と、いつもより大人しい章大くん。