あなたは講師

拓馬くんは一人暮らしだった。地元から離れた高校になったため、駅から歩いて15分くらいのところにあるけっこう大きなマンションに一人で住んでいた。

「どーぞ」
通された部屋は拓馬くんらしさが漂っていた。ベースはモノクロで、それに所々ブルーの小物が並べてあった。

男の子の部屋は初めて見たけど、想像していたより遥かに綺麗だった。

「適当に座って」
拓馬くんはそう言うとキッチンに向かった。
するとやっぱりお茶の準備をしていたので後を追って、手伝うと声をかけた。

「あのさ、おまえどう呼んだらいい?」
「うーん、なんでもいいよ!」
じゃぁ、と言った拓馬くんを見つめると
「俺はりなって呼ぶ。んで俺の事は拓馬でいいから」
と言ってまた私の頭を叩いた。