あなたは講師

稚葉と私はすぐ仲良くなった。しかも、稚葉の友達とも。皆いい人でこの高校で良かったと思った。

「りな!ご飯食べよッ!」

「稚葉ってご飯になると早いよねぇ!」

うるさいっ、とか言いながら机を運ぶ稚葉は可愛かった。
私もあんな風に可愛かったらな………。


「りなって、好きな人いないの…?」

「いない、いない!」

「なんでぇ?2組の田中くんとか、5組の有馬くんとか、かっこいい人いっぱいいるじゃん!」
情報通(イケメン通)の愛香はつらつらと名前とクラスをあげていく。

「あたし、別に今楽しいから男なんていらないの!」

もったいなぁい、と嘆きが聞こえた気がしたけどこういうのは聞こえないフリが一番だ。


今でもあの人を思っているなんて未練がましい。しかも、先生だなんて言えない。

「今日!放課後暇なひとぉー!」
ピンッと人差し指を立て叫ぶ麻奈は仕切り役だ。
みんなもちろん暇だった。
部活もしてない私たちは毎日遊んだ。時々図書館で勉強会もした。