こまと過ごす時間は楽だ。自分のありのままを出せる唯一の人だから。
こうやって私はこまを利用してたんだ。私は本当ひどい奴。
自分でも分かっている。分かっているけど、こまの優しさに甘えて調子にのるんだ。


こまとの買い物は久しぶりなだけあって楽しかった。
「あっ、ねぇ本屋寄っていぃ?」
こまの提案から本屋に寄った。

出会いに一歩づつ近付いているとも知らずに...。

「悠子ちゃん?!」
背が高くて美人な女性がこちらに来るのが分かった。
どうも見覚えがあると思ったら、こまの家の近所の“亜子先輩”だった。
亜子先輩は私立女子中に通う、私の憧れでもある先輩。同じピアノ教室で、ピアノも上手だった。

「悠子ちゃん久しぶり!あっ、梨那ちゃんも!!
そういえば...悠子ちゃん、梨那ちゃんに伝えた?」

「伝えたたんだけど..今はいいって言うから...」

何の話か分からないけど、私にも関係あるんだよね..!??
ふと疑問に思っていると
「前、すずの理想の人がいるっていったじゃん?!」
と、こまが説明してくれて思い出した。
その時は呑気に
あぁ、あの話かぁ亜子先輩のおすすめだったら一応聞いとけば良かったな、なんて考えていた。