「まだまださむい〜」
さすがにマフラーを巻いてくる人も少なくなった。

先輩達は受験でピリピリしていて、学校全体が受験のムードに包まれる。

そんな2月の半ば。
ようちゃんは私立女子中で過ごす事が多くなったようだった。
昼休みに理科室へいくと、電気が消え鍵がかかっている。窓から駐車場を見ても、グレーの車はなかった。
まるでようちゃんはもういないかのように。面影さえもなかった。

私達も期末試験が近くなり慌てはじめる。そんな日の放課後。

「堀越先生いらっしゃいますか?」
国語の質問をしに行ったときだった。
職員室の入口付近のコピー機の前にようちゃんがいた。
「ようちゃん…!」
「おぉ、鈴木!久しぶり」
2週間ぶりのようちゃん。相変わらずの笑顔に涙が溢れそうだった。


やっぱり





好きだよ……


先生にたった2週間会ってなかっただけなのに、こんなに想いが溢れる。

「…き……だよぉ…」
「どした?大丈夫か?」
ようちゃんの声が聞こえてふと我にかえった。

言っちゃだめ……言えないよ………

「ごめん.なんでもないよ!大丈夫」

「そうか。」



好き


離れていくようちゃんの背中に小さく呟いた