あなたは講師

私がついた嘘で先生のテンションが上がり、先生と長々とお話出来た。
朝の占いがはずれて私はハッピーになっていた。
先生とは昼休みの間中ずっと話していた。
………先生が実験についての素晴らしさを語っていただけだけど。

「……なんだよ!すごいよなぁ♪…って、あっ!やべ、時間が…。」
最初の頃の丁寧な口調は消え、先生は素で話していた。
「どうしたんですか?」
「学校行かねぇと…。じゃぁ、また話そうな!」
私と理科室から出た先生は、私の頭をぐりぐりと撫でた。
「では…また!」
そう伝えて教室に戻り、駐車場が見える窓際へ行く。
かっこいいスポーツカーのような車に乗り込む先生の姿をみていた。
「好き…なのかな……?」
胸がチクりと痛んだ気がした。


「りぃ、なにやってんの〜?」
後ろからいきなり声をかけられる。
1年の時から同じクラスの谷口葉一だった。
谷口は良く言うとぽっちゃり、悪く言うとデブ、って感じで皆からは「たにぐ」と呼ばれていた。
「…車見てんの〜」
「さっき出てった車かっこいいよな!」
「たにぐはあの車だったら入るの大変だね」
「うるせぇ!」
たにぐとは小学生から仲が良く冗談も通じるる仲だった。