先生の事が毎日気になって理科室の近くを通った。

1年の子に先生の事を聞いたり、すれ違う度に挨拶をしたりしたけど話した事はなかった。

まだ好きだなんて
わかってなかった。

本当に好きだと気付いた時はもう既に遅すぎた。


――そんな日が2週間続き

いつも通り、理科室をのぞくと先生の姿があった。
一人で黒板を消していた。

「………!こんにちは。」
じっと見つめていた私に気付いた先生が笑って挨拶をしてくれる。
「…………あっ!…私…ですよね。こんにちは」
一瞬固まっていて何が起きたのかわからなかった。
「君、理科室好きなの?」
「えっ?」
「いや、君いつも理科室の前で立ってるから…。」
私は心の中で『先生が気になるからだよ』って突っ込んだ。
「理科室が好きというか…じ、実験道具が好きなんですよ……!!」
私がどもりながらそう言うと、疑いもせず食い付いてきた。
「まじ!?わぁ、俺もだよ!…君名前は?」
「そうなんですか。私は2年の鈴木梨那です!」