そう思って二人を見ていると、小絃が近寄って来た。


「お疲れ様」

「ああ、お疲れ」

「大丈夫?」

「ん。告白はやっぱやめるわ」

「……そうだね。それもありだよね。だってあの二人、本当に幸せそうなんだもん」


 眩しそうに二人を見つめる小絃。


「帰るか」

「うん」


 外はもう、茜色に染まっていた。















「ただいま、おばさ~ん!」


 湖は勢いよくドアを開けた。


「あらあら、おかえりなさい」

「ただいま、母さん」

「おう」

「た、ただいまです!」

「今日の晩ご飯はハンバーグよ。早く手を洗ってらっしゃい」

「はーい!」


 湖はそそくさと家の中へ上がる。


「湖!」


 暦も慌てて上がった。


 十月と小絃は顔を見合わせて苦笑する。


「二人ともすっきりした表情してるわね? 何かあったの?」

「まーな」

「えへへ。いろいろとありました」

「もしかして、付き合う事になったとか?」

「え?! まさか!」

「そーだな、小絃の頑張りようかな」


 十月は鼻歌を歌いながら、家の中へ上がる。


「……え? と、十月くん? ちょっ、待って!」


 小絃は慌てて十月の後を追う。


「ふふ。やっぱりこうなったわね。私の勘は凄い!」


 暦と十月の母は笑い、身を翻した。





「うわぁー! おいしそーっ」

「湖、手を洗ってから」

「おっ。うまそ」

「十月くん、摘まみ食いはダメ!…じゃなくて、さっきの話っ」

「暦、早く手洗って食べよ!」

「はいはい」

「頂きます」

「十月くんってばー!!!」


 四人のお話はここまで。

 この後どうなるかは、四人次第。


*End*

――――――
両想いでなくとも伝えたい

伝えない優しさもまた
ひとつの恋のカタチ

積極的に攻める恋もあれば
消極的に見守る恋もある

どんなカタチでもそれは
一生懸命な恋心