【side湖】
う~~ん!
外は晴天! 良く晴れた!
偉いぞ、てるてる!
私は窓辺に吊ってある、てるてる坊主をつついた。
今日は私にとって大切な日。
みんなで遊びに行くからって言うのも、もちろんあるけど、それよりも大切な事。
今日、暦に大好きって伝えようって。
だから、今日はめーいっぱいおしゃれするんだ。暦に、可愛いねって言ってもらう為に。
さあ、支度をしなきゃ!
って言っても、洋服も荷物も全て準備済み。だから、やる事は一つ。おやつづくり。
暦が好きなマフィンを作るんだ。ほっぺが落ちるくらいおいしいマフィンを。
もちろん、材料だって用具だって昨日で準備済み。
エプロンを着けたら早速、料理開始。
暦が美味しいって言ってくれますように。
【side小絃】
あぁ、緊張する……。
男の人と出かけるのって、生まれて初めて。これって、デートって言うのかな。
あーダメダメ! 全然、そんなんじゃないんだから!
ただ、遊びに行くだけなんだからっ。
十月くんだって、軽い気持ちで遊びに行くんだから。私も軽い気持ちで楽しまなきゃ!
「どしたの、小絃。百面相して」
湖が心配そうに顔を覗き込んで来る。
「な、何でもない」
「そ? ならいいけど」
「ありがと」
……あっ。着いた。
し、静まれ、私の心臓! 今言う訳じゃないんだから!
湖が呼び鈴を鳴らし、二人が出て来るのを待つ。
ほんの少ししてから、ドアが開いた。
「お、おお、おはようございますぅっ!!」
大きく頭を下げて挨拶する。
あ、あれ? い、今…?
「あははっ!!」
と、十月くん!
「あーウケる。ははっ。小絃の頭はまだ朝なのか?」
「ま、間違えた!」
「小絃は本当に可愛いねぇ」
ドキッと胸が高鳴る。
十月くん──。
気づいてますか?
私の気持ち。
伝えたい。伝わらない…。


