「話したくなったら話して。いつでも聞くから」

「先輩…」

「何を思い悩んでいるのか知らないけど、私は好きだよ。君のクロール」


 ──先輩はそう言い残し、更衣室の方へ向かって歩き去ってしまった。僕は一人残される。


“私は好きだよ。君のクロール”


 聞き間違えではないかと疑いたくなるほどの奇跡のような言葉に、僕はガッツポーズを決めた。

 さっきまでうじうじ悩んでいた心は嘘のように晴れている。


 ゲンキンだなぁ、なんて思いながらも、にやけ顔が収まらない。


「うっし! 絶対、タイム伸ばす!!」


 僕は自分自身に強く誓う。


 次に自己新記録を出せたら、その時は――この想いを伝えよう。





*End*


――――――――――
 この作品、友人二人に読んでもらったんですが…。

 Aの証言→らしくないよね。何かいつもと違う感じ。

 だそうで。ごもっとも。
 私自身、らしくない気がします。
 何ででしょうね?
 珍しーく、悩まずスラスラ書けた作品でしたよ。
 だからかな…?
 いや、違うと思う。

 Bの証言→最初BLかと思ってびっくりしちゃった。

 …………。おいッ!!
 私BLは書けないよ!
 どこがBLだよー?!とか思いながら読み返すと、ハイ。
 若干BLっぽい…。
 これには暫し沈黙しました。

 Bと同じように思われた方がいらしたら済みません!
 私の力量不足ですっっ!
 本当に申し訳ない…。
 反省させられた一作でした。
 ご拝読ありがとうございました。


by 08ー08ー13.