中学二年生の理人と付き合うなんて有り得ないと思った。


 年下だよ、中学生と高校生だよ?


 でも、一生懸命な理人を見ていると自然と言葉が出た。断りの言葉ではなく「はい」の一言。


 それからは、放課後にここで待ち合わせしている。この公園は中学校と高校の中間地点。

 お互いの学校を行き来し合うのは大変だからね。


 早く来ないかな。いつもなら理人が待ってるんだけどな。


 あ、来た!……って、あれ? 理人の制服ってウチの?


 理人が着ている制服は中学校のではなく、私の学校……つまり、高校の制服だった。


 どうして、理人がウチの制服着てるの?


 それに加え、理人はこちらに来ない。こちらから離れた、反対側のベンチの方に向かっている。缶ジュースを二本持って。

 ベンチには、ショートカットの女の子。


 何、どういう事…? もしかして浮気?!

 って、普通、彼女の前で堂々としないでしょ!

 あー、意味分かんない!


 よし、こうなったら直接訊きに──。


「…っ! お姉、ちゃん?」


 え? この声、苺紅(メグ)?


『も~驚かさないでよ、苺紅!』

「嘘…。本当に、お姉ちゃん?」

『何よー。失礼ねぇ』

「本物だ…っ」


 そう言って、苺紅は急に泣き出した。


『ちょっと苺紅?! どうしたの、急に!』


 あまりにも急に泣き出すものだから、私はあたふたしてしまった。


 えーっと、こういう時は。


『苺紅。大丈夫だから、ほら、笑って』

「お姉ちゃ……っ」

『女の子は笑顔が一番! ね、可愛く笑って』

「!……うん」


 苺紅のいつもの笑顔を見て、ほっとする。


「本当に、お姉ちゃんなんだね」

『だーかーら、その言い草は何?』


 って、何で…?

 苺紅も違う制服着てる。中学校の制服じゃない。ウチの高校の制服。


『苺紅? 何で理人も苺紅もウチの制服着てるの?』

「……お姉ちゃん、分からないの?」

『何が?』

「自分が…死んでる事…」


 ――───っ?