「ごめんね、春谷くん。

なんか…機嫌悪くしちゃったよね?」


その日の数学の時間。

柚木ちゃんは俺の席の横へ立つとコッソリ囁いた。



『別に。俺はいつもこんなんですよ』


俺はそう冷たく言い放つ。

柚木ちゃんは困ったように苦笑い。


そして俺の席を離れて行った。



『そう怒るなよ、修司

別に柚木ちゃんは悪気があってやったワケじゃないんだから』


新は俺のほうに体をよせ、言うが別に本当に俺は怒ってなんかいない。

いつも俺はこんな感じのはずなんだ。




『新、前向け』


新は俺の言葉に少し眉を下げる。


2人して同じような顔、してんじゃねぇよ。

なんか俺、すげぇ悪いことしちゃったみたいじゃないか。