「だって…っ…だって修司は…あたしの生徒なんだよ…っ」
……やっぱり。
俺が生徒だから、なんだな。
分かっていたとは言え、自分がもう少しだけでもいいから早く生まれていれば、なんてバカなことを思う。
もしかしたら俺が早く生まれていたら柚木ちゃんと出会うこともなかったかもしれないのに。
『そんなに…生徒と教師って関係、気にしなきゃダメなの?』
柚木ちゃんは何も言わない。
俯いて黙ったまま。
『いいじゃん、そういうの気にしなくても。
だって俺は生徒である前に男で。
柚木ちゃんだって教師である前に女なんだ。
だから、いいだろ、そんなの…気にしなくたって。』
きっとここに新がいたら
ついこの間まで教師と生徒という関係を気にしていたのはどこのどいつだ?
なんてニヤニヤ笑いながら言われただろう。
「…でもあたしは修司より10コも年上なんだよ?
それでも…いいの?」
『年の差だって関係ない。
少なくとも俺は関係ないって思ってる』
16歳と26歳の10コは大きいかもしれないが
20年後、俺が36歳で柚木ちゃんが46歳になったとき。
その10コの差はそんなに大きいものとは思えないだろ。
だから俺は年の差なんて関係ない、って思えるようになったんだ。


