「ごめんね、修司。
ホントは違う話、しようと思ってたんだけどね。
教室入って修司の顔見てたらつい、言っちゃってね。
迷惑…だったよね」
迷惑?
『………誰がんなこと言った?』
自分でもビックリするほど冷たい声が出た。
でも、腹が立ったんだ。
柚木ちゃんが勝手な想像するから。
俺はまだ、何も伝えていないのに。
『俺、そんなこと一言も言ってないじゃん。
迷惑だった、なんて言ってないじゃん。
なのに…何言っちゃってんの?』
俺は立ち上がった。
とりあえず動いて気を落ち着けたかったんだ。
「でも、席に座ってることが苦痛だったんでしょ?
それはあたしがウザかったからでしょ?
だからあた…『柚木ちゃん』
後ろから柚木ちゃんを抱きしめた。
相変わらず小さくて腕の中にすっぽり収まるサイズ。
これだから柚木ちゃんを他のヤツに渡したくないんだ。
このフィット感を誰にも知られたくないから。
俺だけが知っていたいから。
だから、柚木ちゃんを離したくない。
『俺、迷惑だなんて思わなかった。
その代わり、俺、すっげぇー嬉しかった。
……柚木ちゃんが俺と同じキモチだったんだ、って知ってすげぇー嬉しかったんだ』


