顔を上げるとまさかそんなことを聞かれると思っていなかったと言わんばかりの表情の柚木ちゃん。
ま、仕方ないよな。
誰だって予想もしないことだ。
「………本心、だよ」
少しの沈黙のあと、小さな声で呟く柚木ちゃん。
さっきまであれほどにうるさかった鼓動はいつの間にか静まっていた。
『俺…ビックリした。
突然、柚木ちゃんがあんなこと言うから。
頭ん中、大パニックだった。』
いったい俺は…何を言いたいんだろう。
スキだ、ってそれだけを伝えればいいのに、口からは違う言葉が出てくる。
『授業中なのに教室から飛び出したい気分だった。
席に座ってるのがあんなにも苦痛だって感じたのは初めてだったよ。
俺…「修司」
俯いていた顔を上げた。
するとなぜか目の前には悲しそうに瞳いっぱいに涙を溜めた柚木ちゃんが俺を見ていて。
なんで…泣きそうになってんの?


