『頼むよ…柚木ちゃん。
俺、柚木ちゃんに泣かれたら困るんだ。
どうしていいか分かんなくなる。
だから…だからもう泣くなよ』
つくづく、自分は不器用だと感じる。
こういうとき、うまい言葉が言えない。
『ごめん…柚木ちゃん。
俺のせいで、俺のせいで辛い想いさせて、ごめん。
俺が隣に住んでたから。
あらぬウワサ流されて。
転勤させられて。
学校中の好奇の目にさらさせて…ごめん』
俺の心の中は
柚木ちゃんへの罪悪感と
柚木ちゃんへの愛おしさでいっぱいになっていた。
「……違うの…修司」
途切れ途切れだったが確実に、俺の耳に届いた、柚木ちゃんの言葉。
「修司は…何も悪くないの。
悪いのは…悪いのは全部、あたしだから…」
ぎゅっと柚木ちゃんが俺の服の袖を掴んだ。
「謝らないといけないのは…
謝らないといけないのは…あたしのほうだよ…」


