「おはよ、修司」


欠伸をしながら登校中の俺に声をかけてきたのは

現在イケメンくんと交際中の志帆だ。



『………おっす』


柚木ちゃんとベランダで話していたあの日から2週間程、経っていた。


柚木ちゃんがこの学校を去って行くカウントダウンが始まったんだ。



「な~んかさ、最近、元気ないじゃん」


『気のせいじゃね?』


間髪入れず俺がそう言うと志帆は笑った。



「そんなソッコーで返されると余計、探りたくなるんですけど」


探りたくなる、ってさ、志帆。

どうせ、お前のことだからもう分かってんだろ?


俺の元気がない理由。


お前、意地悪だからさ。

そうやって俺をからかって楽しんでる。



『勝手に探ってください。

やましいことなんて1つもねぇーし』



「やましいこと…ね。

そうね。やましいことなんてないよね」


え?

志帆、どうしたんだ?


さっきとトーンの違う声。

志帆のほうに顔を向けるとなぜか真剣な顔をしていた。


さっきまで、ニヤニヤ笑っていたのに。



『どうした?志帆

なんかあるなら言えよ』


そう、言うのに


「……なんでもない。」


志帆はそう言って聞かなかった。