「はい、できた」
オリジナルドレッシングまで作った加奈さんは満足そうだ。
そしてカウンター席に座り、頬杖をつく。
うちのキッチンは対面式になっている。
「修司はさ」
顔を上げると加奈さんはテレビを見ながら何かを話している新と柚木ちゃんを見ていた。
「まだ…お姉ちゃんのこと、好き?」
『……もちろん』
手元に視線を戻した。
「そっかぁ…
お姉ちゃん、ホントに修司に愛されて幸せだよね~」
加奈さんはそう言って笑った。
『どうしてですか?
俺は柚木ちゃんの生徒ですよ?』
そう言うと加奈さんは何言ってんの、と言って少し怒ったような顔をした。
「お姉ちゃんは気づいてないけど、修司に支えられてる。
いつだって修司が傍にいることにまだ、気づいてないんだ、お姉ちゃんは。
きっと、お姉ちゃんは今修司を
可愛い生徒の1人、春谷修司としてじゃなく
いつも近くにいる男性、春谷修司って見てると思うよ。
本人はどうせ、そんな自覚はこれっぽっちもないんだろうけどね」
加奈さんは、また、笑った。


