「同じ課の人だからイヤでも顔見なきゃいけなくて。
それが辛くて辛くて。
しかも仕事はバカみたいに忙しいし。
仕事…辞めちゃおっかなぁ…って思ってる」
涙を手で拭い、加奈さんは言った。
『そんなの…ダメですよ』
俺の言葉に加奈さんは顔を上げる。
『逃げちゃ、ダメです。
辛いキモチは分かります。
でも、絶対にそれから逃げちゃいけないと思うんです。
俺は働いてないから加奈さんの忙しいっていうのに簡単に分かる、なんて言えないですけど…
けど仕事からも元カレからも逃げてたら何も変わらない…変われないと思いますよ。
…偉そうですみません』
「修司」
加奈さんは俺の肩に手を回す。
な、なんだ…?!
「あんた、最高にイイヤツだね」


