「正解。さすが修司」
やっぱり姉貴みたいだ。
上から目線もあんまり気にならないし。
『いいんですか?ここにいて。
もう慎って人、帰ったんですか?』
ベランダ越しの会話。
柚木ちゃんともこうして話したな、
なんて最近のようで遠い過去のような話を思い出す。
「んー…?
慎くん、まだいるよ。
今お姉ちゃんと話してる」
加奈さんの手がここから見えた。
手には酎ハイの缶。
やっぱりお酒。
いいな、うらやましい。
『2人きりにして大丈夫ですか?』
俺はいったい、なんの心配をしてるんだろう。
「大丈夫…だよ、きっと。
お姉ちゃんだってもう大人だよ。
婚約がどんなことかちゃんと分かってるはずだから。
それにあたしがいても邪魔なだけだと思うしね」
加奈さんはふっと笑う。
きっと、悲しそうな泣きそうな顔しながら笑ってるんだろな。


