眉間に手を当て、加奈さんは首を横に振る。



「なんかもうそのこと考えるだけで憂鬱。

お姉ちゃん、絶対泣いちゃうし。


慎くんのこと、困らせちゃうだけだろうし。

でも、だからって2人を逢わせないワケにはいかないじゃん?


一応、今度の訪問は婚約の報告ってことになってるし」


加奈さんは大きな溜め息をついた。




「どうしていいか分かんないんだよね。


ってこんなこと風邪の修司くんに相談することじゃないか。

なんか…長々とごめんね。


片付けとかやっておくから寝てていいよ」


加奈さんはそう言って立ち上がる。




『…………俺』


顔を上げ、加奈さんを見つめる。





『もう、泣いてる柚木ちゃん…見たくないです』