青い空、白く大きい雲、陽光に輝く水飛沫、香る薔薇。
リク王はそこに佇んでいた。
目にいっぱいの涙を称えて。
光の雪の美しさ、その温かさ、その優しさ。
全てがアルム自身なのだと、心に痛く、優しく染み込んだ。
そこへ大臣が静かに近づいてくる。

「陛下…、そろそろよろしいでしょうか。準備は整っておりますので。」

優しく労わる声に、リク王は零れそうな涙を袖で拭いて振り返った。

「ああ、今行くよ。大臣、皆は…僕を恨むかな。」

不安そうに微笑むリク王に、大臣は背中をそっと撫でて応えた。
2人は城内に入り、リニールの中央広場に面したバルコニーへ向かった。
そこにはすでにスタンドマイクと、2人の兵士がリク王を待っていた。
中央広場では、先の出来事についてざわめきが起こっている。
飛び交う声の中に、病人や怪我人が嘘のように元気になったとの情報があった。

「では陛下、これより国内放送を始めます。よろしいですね?」

大臣が隣から伺い、リク王は目を閉じて頷いた。
それと同時に、ポーンポーンと国中に設置してあるスピーカーから放送開始の合図が鳴る。
スピーカーは至る所に設置してあり、どこにいても国民全員が必ず聞こえるようになっている。
国内放送は滅多にされない。
新王が決定した時など、国にとって重要な場合のみ、放送される。
それを知っている国民全てが、一斉に作業や行動を止め、スピーカーに耳を傾けた。

「リュークの国民諸君、これより我らが陛下、リク王より重大発表がある。心して聴くように。」

大臣が先にそう言い、リク王は深呼吸を一度してから話し始めた。