ふわっ───…
『…香?』
そのとき、
確かにあたしは、昌春に抱きついた。
【何もなかったはずの所に
なにかが生まれたあの時、
あたし達はきっと…
運命を告げられた──……】
『少しだけ…こうしててもいい?』
サワサワと話す葉っぱ達だけが
2人を見つめていた──…
『………あのさ、香』
『──…何?』
昌春はぎゅっと香を強く抱きしめた……
『少しじゃなくて、ずっとこれから生きていくたくさんの時間を……ずっとこうして生きていかない?』
【その言葉は、昌春からの最初のプロポーズだったよね。
今でもちゃんと覚えてる。
目頭がね…こう、ぎゅ〜っと熱くなったんだよ──…】
そのまま、しばらく時間が経った。
2人は、止まったままだった……
昌春は、
何も言ってくれない香に焦りだした。
『──…香?』
香は、昌春の胸の中で小さく泣いていた。
『なっ…、何泣いてんだよ!』
『だっ…だって、なんか嬉しいんだもん』
『そんな泣くほどのことじゃないだろ?』
『ううん。あたしにとっては死ぬほど嬉しいことなの……っ』
香は、真っ赤な顔をして言った。
『…………っ』
昌春はその言葉に真っ赤になった。
【一生いっぱい愛してほしい……それが、その時からのあたしの願いになりました】