公園の“ペンキ塗り立て”と書かれたベンチの下から声がしていた。

塗り立てなのに雨が降ったら、はてさてどうなるんだろうとずっと前から疑問に思っていた。

というか、現在進行系でその現象が起きている。

なんか、座ったら絶対おしりに芸術的なアートが完成してしまいそうな、そんな気がした。


……そもそも座ろうなんて思わないけど。


そんな危険に満ちたベンチを余所目に、下を覗いた。

傘をさしたままそうするのは些か困難だったので、制服のスカートが濡れないように細心の注意をはらいながら、よく見れるように屈んだ。
そうまでした私が見たのは


「……にゃー」


真っ黒な、猫。