そう、やりにくい。

何故なら佐倉先生はさっきからずっと私の方、いや、私を見ている。

頬杖をついて、机の下で脚を組みながら。

「気にするな」

いえいえ、気になります。

「わ、私の顔に何か付いてるんでしょうか」

さっき食べたおにぎりのご飯粒とか。

「残念ながら付いてない」

「じゃ、じゃあ」

「相変わらず馬鹿っぽい顔してるな」

「んな!?」

「そう思って見てた」

こ、こここのサディスト!!


あんまりな言い方に怒りを覚えたけれど、早くこの場から解放されたい一心で何とか抑えた。

偉いぞ、私。







それからも視線を感じていたけれど、気にしないように努力してプリントを全て埋めた。

「終わりましたあ……」

珍しく頭を使ったことと、ずっと見られていたせいで何だか精神的に疲れた。

ちら、と時計に目をやると1時間ある昼休みが終わるまで、まだ15分くらいあった。

余裕で終わったことに安心していると、私からプリントを受け取った佐倉先生が言った。

「ご苦労。後で採点して返す」

「え、今採点するんじゃないんですか?」

私の質問に佐倉先生は答えないで、プリントを机の端に置くと代わりに何かを私の目の前に差し出した。