だけど佐倉先生は私の言葉を無視して机の中から一枚のプリントを取り出した。
「これ解け」
と、言ってプリントを私に差し出す。
「え、これだけですか?」
佐倉先生のことだから絶対大量のプリントを用意してると思ってたのに。
それこそ、昼休みに終わらない程。
想より少ない量に思わず言葉が零れた。
「なんだ、足りないのか? なら」
「いいえ足ります充分です」
素早く言葉を被せてプリントを受け取った。
そんな私を佐倉先生は鼻で笑って見ていた。
***
プリントを解き始めて、約10分。
静かな室内にはシャーペンを走らせる音と、無機質な時計の音だけが静かに響いている。
まさに集中出来る状態だと思う。
……だけど。
「あの、佐倉先生」
「何だ」
「その、ですね」
「早く言え」
何というか、非常に
「やりにくいんですが……」
消え入りそうなくらいの声量でそう言った。