「お腹空いたー、死ぬう……」

お腹と背中がくっつくってこういうことか。



「はい。買っておいてあげたよ」

机に突っ伏してぐだぐだ言っている私の目の前に、何かが差し出された。

見ればそれは焼きそばパンで。

すぐに顔を上げれば、そこには親友の真田美月(サナダミツキ)の姿があった。

「うわーん! ありがとー! 美月ーっ」

「ちょっと、抱きつかないでよ」

「えへへ、ごめんごめん。嬉しくてつい」

「何がつい、よ。まったく」

ちょっと毒舌だけど私にとっては一番の親友の美月は、背が高くてスタイルは良いし、サラサラの長い黒髪は綺麗で大人っぽいし、何よりも美人だしで羨ましい尽くし。

そんな美月の手から焼きそばパンを奪……、受け取って夢中で食べた。

「……何か猫みたい」

「もぐ、なんか言った?」

「何でもない」

「?」

もぐもぐと焼きそばパンを頬張り続ける私を、美月は呆れた顔で見ている。

「それにしても、詩歌(シイカ)も可哀想だと思うわ」

「ん、何で?」

「だってあのドS教師に目つけられてるんだから」

「佐倉先生のこと?」

「他にいないでしょ」

まあ確かにドSな教師って言ったら彼以外に考えられないか。