――ジリリリと、どこか遠くで何かが鳴っている。




……何。






ああ、目覚まし時計、か。



……うるさいなー。


今イイトコなんだから。


邪魔しな、いで……


…………


……むにゃ?


……









「……っ、朝ー!!!!」

ありったけの叫び声を上げ、ガバッと飛び起き、跳ねるようにベッドから床へ華麗に着地した。

真っ先に、叫んでいる目覚まし時計を止めて時間を見れば、時刻は8時。

これは朝食抜きでも遅刻ギリギリの時間だ、とパニック状態の頭の片隅で冷静に判断する私。

慌ててリビングへと急ぐ私の背に、にゃあん、と猫の鳴き声が届いた。

「あっ」

そうだ、昨日拾ったんだった。

私を見つめる黒猫は昨日公園で拾って、リトと名付けたことを思い出した。

「ご飯あげなくちゃ」

はっ、と気付き、冷蔵庫へ向かった。

「ごめんね、今日キャットフード買ってきてあげるから」

そう言って昨日と同じように小皿に牛乳を注ぐ。