そんなやり取りをしているうちに、A組の教室前までやってくる。


咲月が扉に手をかけ開けようとした。


「ちょっちょっと待って!!」



私が叫ぶと、咲月は面倒くさそうな顔をして何?と聞き返す。



「し、深呼吸してからっ」



そう言ってすぅーはぁーと深呼吸をする。


咲月はやれやれと私を横目に見ていた。




よっしおっけぇ!!



私は咲月に予告なしに扉を開けると中へ足を踏み入れた。


「おはよ~~~」


私は大きな声で言うと、普通に挨拶を返してくれる人がいたり無視する人がいたり。


うん、知ってる子は結構いるし大丈夫。男子はほとんど知らないけど。


後ろから入ってきた咲月はふぅとまた溜息を吐くと、私を通り越し黒板に張ってある紙をチェックする。


私は咲月の横に並び、咲月に話しかける。



「ねぇねぇ知ってる子いっぱいいるよ。一年のころおんなじクラスだった子とか」


咲月は私を見ることなく、紙を指でなぞりながら返事をする。



「あのね、私が以前一緒だったクラスメイトを沢山覚えてると思ってるの?私は人の名前を覚えるのが苦手なのよ」



「そ、そういえばそうだったけどさ」




少しぐらいは憶えてくれないかなぁ…?




咲月は顔をあげ、教壇から降りると私を手招きした。


「席は出席番号順みたいね、藍は窓際の後ろから三つ目の席」



咲月はそこの席を指差すと、私はこっちだからと言って歩き出す。

私は言われたとおりにそこの席に向かう。そして鞄を置き椅子に座ろうとした、その時。



「おはよ。朝からテンション高いね~」


一つ前の席から話しかけられた。