真剣な瞳(め)。
ただ、助けに来てくれたことが嬉しかった。

「お嬢様、大丈夫ですか?」

綺麗な色の垣元さんの瞳(め)が、光を吸い込んでキラキラ煌めいていて、思わず泣きそうになってしまった。

「ほら宵波。お嬢様に言うことは?」

「……ごめんなさい」

彼がシュンッとショボくれた小さなワンコのような表情をしてそう言った。

「あの…もう大丈夫ですから」

私がそう言うと、ヨイハさんは「本当?」と覗き込んでくる。

か、可愛い…。

「う、うん」

「よかったぁ」

うわっ本当に可愛い…!
なんでそんなに可愛いんだろう。
なんか…女の子として、負けた気がするのは気のせいかな?

「お嬢様、改めて彼を紹介致しますね」

垣元さんが丁寧だけどちょっとムッとしたような声でそう言った。
私、なにか怒らせるようなこと…。

そう私が不安になってると、ポンッと頭に軽い重みを感じた。

「!おいっ、宵波…!」

「俺は、大津場 宵波(オオツバ ヨイハ)。"今宵"の宵に、波って書いて"宵波"。ここの使用人として働いてる親父がいて、今は庭師見習いとしてやってるんだ。よろしく」

屈託の無い笑顔。
本当に可愛らしくて、黒い大型犬…みたいな。
こっちまで笑顔になれちゃう。

「よろしくお願いしますね、大津場…「宵波」……さ、ん?」

「宵波って呼んで」

「じゃあ改めて、よろしくお願いしますね。宵波さん」