小さい頃、両親が交通事故で亡くなった。

『この子は、私が責任もって育てます』

まだ小学校にさえあがっていない私を育ててくれたのは、当時18歳だった一条 陽姫(イチジョウ ハルキ)お姉ちゃんだった。

そして、結婚と私の高校入学を目前にして、お姉ちゃんが亡くなってしまった。

親戚は、生前かなりの貯金があった両親とお姉ちゃんの遺産目的で、誰一人として私を善意で引き取ってくれるような人はいない。

…寂しい?悲しい?
分かんない。だって、誰も教えてくれないもの。

胸に空いてしまった、大きな穴みたいな感情を。
ブラックホールのように、全て呑み込まれていくような感情を。

「お姉ちゃん…」

なんでいなくなっちゃうの。
私の大好きな人。私の大切な人。

みんなみーんな、いなくなっちゃう。

『あぁ…また死んだ。優姫(ユウキ)の周りの人間だ』

『気味の悪い…あの子はきっと死神を呼び寄せるのね』