一瞬、時が止まった。



今までにない感情が心の奥底から溢れ出した。



僕の瞳に映る景色。



そこには先生と男性がキスをしている場面だった。



どこもかもが震えているのがわかる。



「・・大丈夫・・?」


彼女は僕の顔を見て心配したのだろうか・・。





僕はその場から逃げるように立ち去った。



僕とキスした時は・・
あんなに泣いて・・
あんなに怒って・・。

なのに・・

あんな奴とは幸せそうな顔をして、唇を許している。


愛の有無を感じさせられた。



・・わかっているよ。


・・わかっている。




―だけど・・。


・・あんな風に笑ってあんな風にキスをして・・そんな場面を見て・・僕は、僕は・・。




瞳に浮かぶ雫。


それは大きな涙に変わって頬を濡らした。