・・なんかイラッとした。


・・そんなの
 意味ないのにね・・。



だから、わざと先生の左側の本棚に片手を置いて体を密着させた。


だって、そうしたら先生が振り向いた時に僕と向かい合わせになるだろ?



僕は本を取る。




「はい」



案の定、先生は振り向いた。


だけど・・。



・・想像してたのとは
 全然違う。




「ありがとう」




僕の目は泳いでいた。



先生はなんの反応もなく僕を見て笑った。




僕だけがドキドキして、僕だけが余裕もなく、僕だけが頬を赤らめた。




・・ばかみたい。




先生はスッと僕から離れ本を積んである机に足を運んだ。



・・こんなに
 好きになってた・・。




・・胸の鼓動の速さが
 それを語る。