夕日が窓の隙間から差し込む。


夏の蒸し暑さが部屋中を覆う。



「あれ、先生?」



「あ、幸村君?!」




「はい、先生どこにいるの?」




声は聞こえるが姿が見えない。




「どこ?」



「ここよ」





一番奥の本棚の隅に隠れて見えなかった。




「何してんの」




先生の方を覗く。



「あの本が取れないの」



少し困った表情で見る。



・・その顔は反則でしょ



なんて、また浮かれてる。




「俺が取ってあげるよ」




先生の背後に近寄る。



・・先生、ちっちゃいなぁ



先生の背中と僕の胸がかするぐらいの距離まで近づいた。



・・やばい。


・・ドキドキしてるよ。



「・・どれ?」


・・でもバレたら
 カッコ悪いから
 平然としていた。



女慣れしているはずなのに・・どうして先生だけは・・。



「その隣の本よ。右ね」



・・先生は大人だ。


・・僕の事なんて
 全く意識していない。