「うん」
すぐに契約を済ました。
とてもではないが、キレイとか豪華とは言えない。
昔からある古びた部屋。
そんな言葉しか浮かばない。
だけど、そんなのは必要ない。
あなたと一緒に居られる。
問題はそれだけだ。
キィー・・
扉を開けると、今にも壊れそうな音で僕らを迎えてくれた。
「凄い部屋ね・・」
先生は少し笑い、少し戸惑いを見せた。
「俺は好きだよ」
部屋に入り、窓を開ける。
涼しい風が部屋中を漂う。
湿った匂いが消えていく。
「幽霊とか出そうだね」
笑う僕に対して先生は笑わない。
「冗談だよ」
と、返しても先生は無表情。
「やっぱりやだ」
急に拗ねた表情で言った。
「ごめんって」
僕は先生に近づく。
「本当に霊が出たらどうするのよ!!」
「出るわけないじゃん!ねっ?嘘だから」
怖がった表情が消えない。
「大丈夫だから」
僕は必死に言う。
「本当に?」
「うん」
今までに見た事のない先生。
知らない先生の一部を知り、僕は満足と幸せに浸っていた。
