「一緒に駆け落ちしようか・・?」 少し間のあいた僕の言葉に先生は笑って答えた。 「それいいわね」 「俺、本気だよ?」 「私も本気よ」 本当でも、嘘でも・・どっちでも嬉しかった。 僕は今の幸せを選ぶ事にする。 そうしないと、きっと後悔する。 全てを失っても・・ 先生だけは―‥ 失いたくない。 「寝ようか」 僕は先生の頭を撫でながら、静かに囁く。 ゆっくりと瞳を閉じる。 僕たちは同じ闇の世界に瞼を閉じた。 ―携帯が鳴っている事 さえ気がつかなかった