街を歩いていると、二人で歩いた記憶が蘇る。

声がする―

記憶のどこかにある声が呼んでいる…


「好きだよ」


耳元に聞こえる恥ずかしそうな声―


振り返る人混みに姿を見た気がした。


確かにそうだ…


眩しそうに空を見上げる笑顔はあの日のままだった。

よかった…また笑えていた…それが嬉しかった…


どんなに過去をやり直したくても後戻りはできないことを悔やんでいた。




笑顔を見ることができてやっと何かが吹っ切れた。


急に目の前が滲んできた。

たとえ生きる道が違ってもどこかでまた繋がっている。


違う道を歩いていた二人が少しの時間でも同じ道を歩けたように―


今また別々の道を歩きだした…


あの日分かち合えた想い

あの日の笑顔

あの日の喜び



全部が愛しい





「出逢えてよかったよ」