ウルフ

レイはとっさに避けようとしたが、銃弾が脇腹をかすめた


『くっ』


『レイ!!』


レイの脇腹から血が滲む


『貴方の回避能力も凄いですよ、あの距離から的を外されたのは初めてです、しかし死んでもらいます』


『もう見ちゃいられない!加勢するぜ』


『ロック、大丈夫』


レイはロックに向かって言った


『だが…』


『大丈夫だから…』


ロックは動けなかった

『よそ見してる暇はないですよ!』


《ダンッ、ダン》


レイは回避したが先程よりスピードにキレがない


『レイ!!』


マグが心配そうに叫ぶ

『ほらほら、逃げるだけでは勝てませんよ』

マルスが言い放つ


『……』


レイは回避しながら何かを考えていた


《カチッ》


またもマルスの銃が弾切れをおこす


レイは見計らいまたもマルスの懐に入る


『馬鹿め…』


マルスが呟く


《ダンッ》


《ドンッ、ドン》


3発の銃声が響く


『ぐっ…馬鹿な』


マルスの胸に血が広がる


『貴方も回避能力は尋常ではなかったですから、至近距離で撃ち込むのが一番だと思いました、弾も無駄にしたくなかったし』


レイが言った


『ぐふぁ、何故だ私もあの距離でお前に撃ち込んだはず…』


『貴方の弾は、僕の最初に撃った弾で弾かせてもらいました』


『そんなことが…』


マルスは口から血を吐き出した


『最初のやつは僕も油断していましたが』


『なんてやつだ…』


レイは倒れているマルスを無表情のまま見ていた